読者の一人の、結婚式写真専門にやっていらっしゃる写真家の方からメンテナンスについての質問がありました。
式の繁雑期が終わり、愛機のキャノン5D MarkIIIをサービスセンターにクリーニングに出した所、サービスセンターから連絡があり、彼女の5Dは既に20万回も撮影していて、シャッター耐久回数という5DMarkIIIの平均的なシャッター寿命である15万回を遥かに越えているということを知らされたそうです。
そこで、6万円でシャッター部分を新品に交換出来るがどうしましょうか、とサービスセンターに聞かれ、どうすればいいかという質問でした。
結論から言いますと、私の答えは、「シャッターの寿命はランダムであり、運任せといっても過言ではないため、壊れる前に直すのでなく、実際に壊れてから直せばいいのではないですか」という物でした。
シャッター耐久回数って実際どうなの?
このシャッター耐久回数というものは確かに興味深い物があり、色々な人が研究しています。特に、Oleg Kikinという方が実際にシャッターが寿命で壊れたデータを集めてデータベース化したページはすごく面白いです。
このデータベースは若干古いのでサンプルとなっているカメラも少し古いですが、重要なことは十分にわかるようになっています。例えば、キャノンのEOS 5D MarkⅡとニコンのD300を見てみましょう。両方とも15万回が公式のシャッター寿命ですが、短い物は2000回、長い物だと100万回(!)も持っている事がわかります。
ここから分かるのは、シャッター耐久回数は完全にランダムなものであり、公式に発表されているシャッター寿命と実際に壊れる回数には関係がないということです。
したがって、壊れる前に予防措置としてシャッターを新品に変えるという行為には全く意味がないということがわかります。実際に壊れるまで、あと10万回撮れるのか、あと5回で壊れるのか分からないからです。
もちろん、今回質問をくださったようなプロの方は、現場で仕事中にいきなり壊れた場合に備え複数台のカメラを現場に持っていくことが前提なので、やはり壊れる前にメンテナンスをしておく意味はないということで決着だと思います。