ポートレート撮影と一言で言ってもそのカバーする範囲はなかなか広いもので、ポートレート撮影のアドバイスと言ってもカメラのセッティングの事から、どうやったら被写体の子供を静かに座ってもらうかというようなことまで及びます。
このように広い範囲にまたがる事だからこそ、プロとアマの違いはとても大きい物になります。この記事では、そんな広い範囲の中から重要なコツとテクニックを6個選りすぐってお届けします。
1.絞りのコツ
ポートレイトの時は絞りはF2.8-F5.6くらいの大きめにとって、被写体深度を浅くして背景をぼかし、被写体をより引き立てるのが基本です。
絞り優先モードで絞りをコントロールしながらちょうどいい背景の具合を考えながら撮るといいでしょう。
ポートレイト用のレンズにはF1.4などのさらに大きな絞りを開くことができるものもあります。
2.シャッタースピードについて
シャッタースピードについては、ブレが出ないためにレンズの焦点距離を考える必要があります。
一般的に言えば、シャッタースピードはレンズの焦点距離より大きな数字になるようにするのが基本です。例えば200mmの場合で1/250以上の速さで撮る、といった具合です。
これは、広角レンズを使えばかなり遅いシャッタースピードで撮れるということも意味しています。例えば18mmで1/20秒など。
3.ISOについて
ポートレイトの被写体は人間ですから(笑)、当然常に動きます。まばたきはもちろん、顔の表情もどんどん変化します。まばたきをしている途中の眼が半開きの写真などは、最悪の写真といって差し支えないでしょう。
こういった問題を回避する為にはもちろんシャッタースピードを速くして「今、この瞬間」を逃さないように撮ることが必要になります。
絞り優先モードで絞りを開いて撮影をしている場合、シャッタースピードを速くするにはISO値を上げることになります。
暗い所ではさらにISOを高くすることを求められるので、ISO800や1600といったことになることもあります。もちろん画質の劣化の問題がありますが、ブレた使えない写真よりは多少ノイズの入ったシャープな写真の方が何倍もいいです。
4.レフ板を使おう
手軽にポートレート写真を明るくするのにはレフ板がおすすめです。屋外でも、窓の近くの屋内でも、光を反射させていらない影を減らすことができます。
多くのレフ板は表が白レフで裏が銀レフだったり、カバーが金レフだったりというように色々な種類の効果を演出出来るようになっています。色々と試して自分が欲しい効果をみつけてみましょう。
また、どうしても予算がない時は大きめの白い画用紙などでも似たような効果が得られますので、そちらを使ってみてもいいでしょう。
5.フォーカスについて
絞りを広めに開いている時は、被写界深度はとても狭まりますので、フォーカスがぴったり合っているか注意して確認しなくてはなりません。例えば鼻にはフォーカスがあっているが眼が若干ずれているなどの失敗も十分起こりえます。
寄って撮るときなど厳しくフォーカスを決めなくてはいけない構図の時は、フォーカスは眼に合わせましょう。もう少し広く画面を使う場合は頭部に合わせましょう。
フォーカスの小技としては、中心点にAFポイントを設定しておいて、半押しにしてフォーカスを合わせてから左右にカメラのポジションを動かしてから撮る方法や、いわゆる親指AFと呼ばれる、オートフォーカスをシャッター半押しでなくボタンに設定することで、一度フォーカスを合わせてからポジションを決める方法などがありますので活用してみましょう。いずれも、被写体をど真ん中に配置する事は少ないので、フォーカスを合わせながらもバランスのよい構図をつくるためにカメラを動かしやすくする為の小技です。
6.ポーズについて
ポーズと表情の重要性は強調してもしきれないほどで、ポートレート写真は表情やポーズの少しの違いで写真のできが全然違ってしまいます。
なので、ポートレート写真を撮影する時は、色々なポーズや表情を撮っておくことをお勧めします。色々なバリエーションを撮っておいて、あとからパソコン上でゆっくりと編集しながらベストショットを作り上げていくという形が個人的には好みです。
また、被写体がカメラを向いているバージョンと、フレームの外を向いているバージョンの両方をとっておくのもおすすめです。上向き、下向き、右向き、左向きなどのバリエーションも一枚ずつはおさえておきたいところです。これらを撮影しながら、このモデルはどんな向きと表情がいいかと観察しながら撮影の方向性を決めていくのもいいでしょう。
ポートレートの基本ポーズについてはこちら、撮り方についてはこちら、照明についてはこちらも参照してみてください。また、撮った後のLightroom編集作業はこちらを使うと便利です。