ダグラス・サンダース(Douglas Sonders)氏は通常は人物のポートレイト写真を専門とする写真家だが、ある雑誌から捨てペットの保護施設にいる犬のポートレイトを撮影する企画を振られ、人生初となる犬のスタジオ撮影に臨む事に。そこには人間のポートレイト撮影とはまた違った難しさがあったようだ。
まず最初のハードルは、撮影場所だ。撮影は、レスキュー犬のいるレスキュー犬協会のオフィスで行わなければならない。当然、撮影スタジオではないので、オフィスの一室を使って仮スタジオを作らなければならない。
そこで、水色のペーパースクリーンを背景に使い、ProfotoのD1ストロボライトを4つ使ってセッティングした。後ろに2台、上からキーライトとして1台、もうひとつをアイライトという具合だ。下がそのセッティングでの撮影風景だ。
セッティングが整ったからといってそれで安心というわけではない。実際、施設の犬はすでに心に傷を負っているものもいるし、体力がないものもいる。そんな犬たちをテーブルの上に乗せて、ストロボライトで照らしながらポーズを決めさせて撮影しなくてはならないのだ。そんな困難な経験から学んだことは以下だ。
①被写体となる犬と仲が良い人物の助けを借りる。
ベストは犬の飼い主や施設であればいつも面倒を見ている担当者だが、どちらもいない場合は犬に詳しく、慣れている人でもいい。慣れない環境でおとなしくポーズを決めさせるのには彼らの助けが必要だ。さらに、仲の良い人がその場にいると、犬の表情が違う。より元気な表情が撮れるのだ。
②犬の好きなおもちゃを用意する。
強い照明などに照らされて、興奮して動き回る犬は多い。このときに彼らの注意をひきつけることができるのはやはり彼らのお気に入りのおもちゃだ。おもちゃを見せて、自分の向いて欲しい方向に向かせることで、カメラ目線のショットを撮ることもできる。
③犬の気を引くものを最低限にする。
ドアを閉めて外からの音などが入らないようにしたり、他の動物などを入れないようにしたり、とにかく犬の気を引く可能性のあるものをできるだけ排除する。
④マッサージ
色々試しても犬の興奮が収まらない場合は、マッサージしてあげると効果的だ。犬は基本的に人なつこい生き物で、ゆっくりなでてあげて落ち着かせてあげよう。
⑤被写体と仲良くなる時間を撮ろう
これは人間のポートレイトでも言えることだが、犬の場合はそれがより顕著かもしれない。撮影前に被写体とあなる犬とよく触れ合って、リラックスできるようにしてあげるのもとても大事なことだ。
このような色々な工夫をしながら撮影したものの一部が記事一番上の写真です。犬だけでなく猫も混じっています!
source:FStoppers