カメラのレンズフィルターは色々な種類があり、それぞれの役割があります。光の状態が悪い時に風景を撮影するのに便利だったり、色を強調したり、光の反射を抑えたり、レンズを保護したりと、様々な用途があります。
フォトグラファーでもビデオグラファーでも、人によってフィルターを常に使う人と、たまにしか使わない人がいます。例えば、風景写真家の場合はフィルターをよく使いますが、ストリートフォトグラファーはあまり使わない、といった具合です。また、デジタル技術の進歩もあり、フィルターの効果は全てPhotoshopやLightroomで代用できるから必要ない、と考える方もいらっしゃいます。ですが実際は、フォトショップやライトルームでは完全には代用できない効果もあったりします。
この記事では、フィルターの種類や用途、使い方などを紹介していきます。
レンズフィルターとは何か?なぜ必要なのか?
フィルターは光の反射を抑えたり、レンズを保護したり、レンズの中に入る光を軽減させたりすることができます。その反面、間違った使い方をすると写真のクオリティに悪影響を及ぼす事もあります。したがって、どのフィルターを選ぶかということと、どれを、いつ使うかという事を知っておく事が大事なのです。
また、最近はレンズフィルターの種類も色々とありますので、選ぶプロセスをより難しくしている印象があります。まずは、これらレンズフィルターの主な種類を紹介していきます。
レンズフィルターの種類
UVフィルター(保護フィルター)
UVフィルターと言うと紫外線をブロックするフィルタというように聞こえますが、レンズの進歩した現代では紫外線が写真に及ぼす影響は小さく、UVフィルターの主目的はレンズを傷や汚れから守ることです。
もともとフィルムカメラの時代に紫外線をカットする目的であったものの名残でこの名前として存在します。もちろん、UVフィルターと銘打っている物は、現代のデジタルカメラには必要ないとはいえ、紫外線もカットする効果もあります。
PLフィルター
PLフィルターは反射を大幅に軽減したり、色やコントラストを深める効果のあるフィルターです。空の色を濃くするなど、風景写真でよく使われるほか、その他の色々なジャンルの写真で使われます。
PLフィルターにはサーキュラーPLフィルターとリニアPLフィルターの2種類があり、一般にはリニアPLフィルターのことをPLフィルター(又は偏光フィルター)と呼び、サーキュラーPLフィルターのことをC-PLフィルター(又は円偏光フィルター)と読んで区別することが多いようです。
選び方で重要なのが、通常のPLフィルターはデジタル一眼レフカメラには使ってはいけないということです。PLフィルターをつけると測光などに問題が発生してうまくカメラが動きません。デジタル一眼の場合はC-PLフィルターを選びましょう。
PLフィルターの使い方についてはこの記事が詳しいです。
NDフィルター
NDフィルターはカメラのセンサーに入る光量を大幅に低下させる効果があります。それにより色彩を保ったままシャッタースピードを遅くできるのでモーションブラーが作りたい時によく使われます。また、フラッシュ撮影の時の露出オーバーを避ける目的でも使われます。
NDフィルターはその光量カット効果によっていくつもの種類があります。通常は1個か2個持っている人が多く、全種類持っている人はまれだと言えるでしょう。通常はNDフィルターによってF値をひとつかふたつ変えることができれば大抵の場合に事足りるからです。
特殊効果系フィルター
特殊効果系のフィルターは、ある特殊な効果をつけるためのもので、様々な種類が色々なメーカーから発売されています。
特に知名度が高い物として、クロスフィルターとソフトフィルターがあります。クロスフィルターは光の線をクロスしているように作り、光を印象的に描写するためのフィルターで、ソフトフィルターは全体的にぼやっとした、柔らかい印象を作るフィルターです。
この他にも、万華鏡のような効果を得られるもの、下半分だけ黒くするもの、半円形の形をつくるもの、色のベールで包まれたような効果を出すものなど、たくさんの種類があります。選ぶ時は、メーカーのホームページや量販店で気になるフィルターを使った実際の写真を確認するのが良いでしょう。
クロースアップフィルター(クローズアップレンズ)
よくクロースアップレンズと呼ばれますが、厳密にはフィルターの部類に入ります。要は接写ができるようになるフィルターで、マクロレンズでなくてもこのフィルターを付ける事で被写体に近づける距離が縮まるというものです。
カラーフィルター(色調補正フィルター)
カラーフィルターにも色々な種類があり、色温度を変えるもの、特定の色を強調する物などがあります。
最もポピュラーな物は色温度のフィルターで、フィルターでホワイトバランスを調整すると考えるとわかりやすいでしょう。
レンズフィルターの選び方
色々なレンズフィルターの種類を見てきましたが、これらを実際に選ぶ時のポイントとしては、メーカーのホームページや店頭で実際にそのフィルターをつけたときの作例を確認し、自分の欲しい物か確認をするというのが重要です。
あとはphotoshopなどのレタッチとの兼ね合いです。自分がレタッチを得意とするなら、例えば色温度はフィルターでする必要はありません。
ただ注意したいのがコンテストなどに応募する際のレタッチルールです。レタッチは一切禁止のところも少なくありませんので、その場合はフィルターを駆使して同様の効果を得るように努力することになります。
ご自分の用途に合わせて色々と迷いながらレンズフィルターを選ぶのも楽しいものです。