遅めのシャッタースピードで写真を撮る時に必要なのが三脚です。三脚の使い方は単純で誰でもすぐ分かるように見えますが、初心者が上手く使えるようになるまでに以外と練習を要するものだったりします。今回は、三脚の使い方についてお話ししてみたいと思います。
良い三脚を手に入れよう
三脚の使い方の前に、まず三脚自体のクオリティの重要性は強調しておきたいポイントです。あまりにも質が悪い物だと、使い方を覚えられないだけでなくお金の無駄となってしまいます。ここらについては三脚の選び方ガイドに詳しく書いてありますので参考にしていただければと思います。
三脚をいつ使うか
さて、まず大事なのがいつ三脚を使うかということです。手持ちでの撮影は三脚をセットするよりも断然に楽なので、本来であれば三脚を使うべき場所でも手持ち撮影をしてしまうというのはよくある光景です。
本来、光の少ない撮影では三脚での撮影が好ましいとされておりますが、これに関しては色々な要素が絡んでくるため、一概には言い切れないのが実情です。そこで、私の経験からの三脚を使うか否かの判断要素を挙げてみます。
- カメラの重さ:もしカメラ(+レンズ・付属品)が重い場合は、手持ち撮影を出来るだけ避けた方が良い。
- 写真のジャンル:ランドスケープ(風景写真)、マクロ撮影、建築写真などは構図を厳しく見る為に三脚が必要な場合が多いです。また、モーションブラー、パノラマ、HDR、タイムラプスなども三脚が必要な技術です。
- ISOの状況:カメラによってISO上昇時の画質劣化度は異なります。また、その写真の目的、または個人に好みによって許容出来る劣化度も異なります。これらを考慮して、今撮影するカメラではどのISOまでが最高なのかを割り出し、そこから手持ちがいけるかどうか判断します。
- プリントサイズ:最終的に大きな仕上げにするものは特に画質劣化が目立ってしまうため、ISOを上げる事ができずに三脚撮影となります。
- 被写界深度と被写体までの距離:手持ちの場合、レンズが長ければ長い程、シャッタースピードを早くしないとシャープな写真が取れなくなります。被写体との距離も重要で、被写体が遠い場合にはくっきりと映っていないと失敗した写真に見えてしまいます。
三脚に構図やフレーミングを左右されない
三脚を持ち出したロケーション撮影でよく陥りがちなのは、撮影場所に付き、三脚の脚を目一杯伸ばして立て、カメラを上に載せて、その状態で色々な位置に動かして撮りたい構図を決めるという状態です。
これでは同じような構図でしか写真が撮れません。三脚をセットする前に手持ちでロケーションを歩き回り、色々なアングルや高さなどを十分に研究した上で構図を決め、それからその構図の写真を撮る為に三脚をセットするのが正しい順序です。
三脚をセットする
三脚を置く場所:置く前に置く場所を決めます。平坦ならなんの問題も無いですが、時に何本かの脚の長さを調節しなくてはならない場合があります。3本の脚の長さを違う長さで使うときは水平でなくなることが多いので、しっかりと水準器のバブルを確認しながら水平になるようにしましょう。また、足場が氷、砂など、動く可能性のあるところに置くのは避けましょう。
- 脚を伸ばす順番
:最も雲台に近い、太い部分から伸ばしましょう。例えば最大まで脚を伸ばす必要のない時は、足に近い細い方を伸ばさずに雲台側の太い方を伸ばしましょう。ほとんどの三脚は雲台に近い方が太く丈夫で、こちらを伸ばした方が安定します。
- 脚を広げる:節を調節するのが面倒くさくて、脚を狭める事で高さを調節したくなりますが、これは避けましょう。脚は基本的には常に最大まで開いた状態にし、長さは節を調節することで変えましょう。開いていないと安定性が失われ、最悪の場合は転倒して大事なカメラを破損なんてことも。
- カメラをしっかりと装着:どのような取り付けシステムであれ、カメラシューにカメラをしっかりと付けましょう。ぐらぐらと揺れたりしないかダブルチェックするのも習慣にしておくといいでしょう。
- 長く重いレンズ:重いレンズを使う場合はカメラでなくレンズを三脚に装着しましょう。カメラを装着して空中に大きなレンズが浮いている状態より安定します。
三脚の使い方の注意点
- 風のある場所ではカメラのストラップに注意:手持ちの時に便利なカメラのストラップだが、三脚にストラップをつけたまま載せると風が強い場所では風にストラップがあおられてカメラが動いてしまうことがあるので注意しましょう。
- オートISOはOFFに。
- リモートレリーズかケーブルレリーズを使用:せっかくしっかりとセッティングしても、シャッターを押す時に指でカメラを触って動いてしまうことがあります。できれば直接触れずに撮影しましょう。
- セルフタイマー:レリーズケーブルやリモートシステムを持っていない場合は、セルフタイマーで対応しましょう。