アメリカのフォトグラファー、スティーブン・イーストウッド(Stephen Eastwood)さんが19mmから350mmまでの焦点距離でポートレートを撮り、ポートレート写真における焦点距離と遠近感の関係を実例で比較するという実験をシェアしてくれました。
ポートレートにおけるベストの焦点距離は最も肉眼の視界に近い85mm〜135mmだとよく言われますが、実際に焦点距離によってどれくらいの差が生まれるのかを検証した実例はあまり見ないのでとても面白いです。
全ての実例はイーストウッドさんの公式サイトで見てみてください。横スクロールで見れるようになっています。
全ての写真は35mmフルフレームのデジタル一眼レフカメラで撮られており、フレームを同じにするために焦点距離によって被写体に近づいたり遠ざかったりして撮っています。
これを見ると焦点距離の変化によってポートレートに遠近感の大きな変化が起こっているのがわかります。
これは離れて撮るほど奥行きが圧縮されることで起こります。例えば鼻の先から鼻の付け根までの距離が長く見えるか、短く見えるかでポートレートの見え方が変わるという事です。
早い話が、遠ければ遠い程(=焦点距離が長い程)平面的に見え、近ければ近い程(=焦点距離が短い程)奥行きが強調されるのです。焦点距離が短い時に遠近感がゆがんで見えるようになるのは、それだけ被写体の近くで撮影しているからです。
ここから、焦点距離が長すぎると平面的な顔に見えてしまい、短すぎるとゆがんで見えてしまうために、85mm~135mmがベストだと言われるようになったのです。
ただ、この比較を改めて見ると、「どれがベストか」というのは好みが分かれ、議論になりそうなポイントです。
確かに100mm,135mmはナチュラルに見えますが、200mm,230mmも思ったよりいい感じにとれていて、個人的には結構好きです。
ポートレートレンズは85mmの単焦点のものなどが主流ですが、これを見るとモデルによって微調整ができた方がいいような気もしてきます。
みなさんはどの焦点距離のものが一番ナチュラルなポートレートに見えますか?