初心者ガイドシリーズ、今回は動いている被写体の撮り方です。
カメラのセッティングを調整する事で、動いている被写体をフリーズさせて(止まっているようにシャープに見える状態)で撮ったり、モーションブラーという動きが出た状態で撮ったりすることができます。
自分がどういう写真にしたいかによって、フリーズした状態でとるか、モーションブラーで撮るかを決めてコントロールできるようになるのが目標です。
撮影モードのセッティング
一眼レフカメラでは自分の撮影の状況によってカメラの撮影モードを変える事ができます。
動いているものをフリーズやモーションブラーをコントロールしながら撮るときは「シャッタースピード優先オート」という撮影モードを使用します。
キャノンのカメラを使っている方はモードダイヤルを「Tv」に合わせ、ニコンのカメラでは「S」に合わせると、シャッタースピード優先オートになります。
シャッタスピード優先オートとは、シャッタースピードを自分で決められて、絞りをカメラに任せるモードです。ISOも自分で決める事ができます。
シャッタースピードとは、カメラのシャッターが開いている長さを表したものです。シャッターはカメラのレンズを外した時に見えるミラーの後ろにある部分です。写真を撮る時のボタンを押すとここが開いて外の光をカメラ内部に入れるわけです。
シャッタースピードはカメラにもよりますが1/8000秒から30秒くらいまで、すごく速いものから遅いものまでの開きがあり、これを調節することで今回の目標である、動いている被写体のフリーズとモーションブラーをコントロールします。
シャッタースピードの調節の仕方
シャッタースピードにおいてまず覚えておきたいルールがあります。
動いている被写体をフリーズさせて撮りたいときはシャッタースピードを速く、動き(モーションブラー)を出して撮りたいときは遅めに設定するということです。
1/8000秒など、とても速いシャッタースピードにすると、ほぼ動いているもの何でもフリーズさせることができます。走る車はもちろん、銃弾であってもフリーズさせる事ができます。
このシャッタースピードを徐々に遅くする事で、少しずつモーションブラーが出てきて、遂には形がわからないほどのブレとなります。
この記事の一番上の風車の例を見てみてください。一番左が一番シャッタースピードが速く、真ん中、右と、徐々に遅くしています。遅くするほどモーションブラーが大きくなっています。
このように、被写体をどのように見せたいかによってシャッタースピードの速さをコントロールすればいいわけです。
手ぶれと三脚
さて、自由にシャッタースピードをコントロールできるのは楽しいですが、注意点もあります。
シャッタースピードが遅くなると、手ブレが出てしまうということです。
ブレには被写体の動きによる被写体ブレ(この記事でお話しているモーションブラーはこれにあたります)と、カメラが動くことによるカメラブレがあり、手持ち撮影でカメラブレが起こるのを特に手ブレといいます。
意図しない手ブレが出てしまうと、せっかくのモーションブラーが台無しになってしまうので、これを予防するために三脚を使います。
三脚に載せる事でカメラが安定し、シャッタースピードが遅めでも手ブレが出なくなるわけです。(シャッターレリーズがあるとさらに手ブレを減らす事ができます。)
実例・動く車を撮影
では実例を見てみましょう。
上は1/30秒で走る車を撮影したものです。モーションブラーが出ているのがわかります。それではシャッタースピードを速くしてみましょう。
こちらが1/500秒になります。行き交う車がフリーズされて止まっているように見えます。
このようにシャッタースピードの調節で、動く被写体の表現を変える事ができるわけです。
「パン」を使ってみよう
撮影テクニックのひとつに「パン」と呼ばれるものがあります。「パン」とはカメラを水平方向に回転させながら撮影する方法です。「パンする」などと動詞としてよく使われる用語です。
カメラをパンすることで、下のように被写体をフリーズさせて背景にモーションブラーをかける効果の写真を撮る事ができます。
セッティングの仕方:
- シャッタースピードを1/30秒くらいにセットして、何度かテスト撮影して自分の好きなモーションブラーの感じになるように速さを調整。
- 左右に動く被写体を探す。(こちらに向かって来るもの、こちらからあちら側に行くものは不可)
- カメラを連写モード(シャッターボタンを押している間連続で撮りまくってくれるモード)にする。
- ライブビューだと難しいので、ビューファインダーを使って狙う。
- 被写体が通るであろう位置にフォーカスを合わせておく。例えば車だったら、同じレーンを走る車などであらかじめフォーカスを合わせておき、そこからオートフォーカスをOFFにしておく。
- 被写体が来る方にカメラを構え、フレームに入ったらシャッターを押しながらカメラをパンさせて被写体がフレームの中に入り続けるように追いかける。
- 撮影した写真を見ていて、モーションブラーが強すぎればシャッタースピードをさらに上げたり、背景がシャープすぎれば遅くしたりして調節する。気に入る写真になるまで繰り返す。
さあ、練習してみよう
以上がシャッタスピードの調整によるフリーズとモーションブラーのコントロールガイドとなります。
写真の勉強は実際にカメラを持って練習するのが一番なので、今日学んだことを実際に試してみてくださいね。