フォトショップ問題で渦中のマッカリー氏がついに沈黙を破り、TIME誌上で公式にコメントを発表しました。
問題の写真が最初に話題になってから、「スタッフが勝手に判断した結果のミス」であることを伝えた意外はコメントを出さなかったマッカリーさん。その間、問題となった写真以外にも多くの写真の加工がネット上で「晒され」、マグナムの同僚であるアグトマエル氏がコメントするなどの動きがありましたが、一連のフォトショップの使用について本人が公式にコメントを出すのはこれが初めてとなります。
マッカリーさんの説明によると、今回の騒動は彼自身のキャリアの変化が招いた混乱であるということです。
現在、マッカリーさんは自身を「視覚的なストーリーテラー(Visual Storyteller)」だとしています。つまり「写真によってストーリーを伝える」という仕事であり、報道写真家であったことは何年も前の話だということです。
彼の言葉によると;
「今では私は視覚的なストーリーテラーです。紛争地域で写真を撮っていたのは遠い過去の話です。短い期間、ペンシルバニアのローカル紙に在籍した事を除けば、私は新聞社、ニュースマガジン、その他のニュースメディアに所属した事はありません。私は常にフリーランスでした。
私の作品のいくつかはアートの分野に入っていて、博物館のコレクションに加わっているものもあります。私の作品を何かのカテゴリーに分けるのはほぼ不可能ですが、それは40年間もこの仕事をしているとしょうがないことでもあります。」
実際、マッカリーさんの近年の写真は旅行写真などの個人的な写真、広告写真、アート写真などが多くを占めています。このあたりのエリアではかなりキツめのフォトショップでの加工編集も普通で、全く問題ないエリアであることも確かです。
マッカリーさんはまた、時代の変化にも言及しています。彼がフォトグラファーとしてのキャリアを重ねた40年の間に、写真界はもちろんメディアの世界も大分変化したというのです。
彼はその例として、彼が撮った1984年にナショナルジオグラフィックのカバーとなった写真を挙げています。
彼が言うには;
「フォトショップのおかげで、この力強い写真が横長フォーマットであるという理由だけでボツにされることを回避できました。これに対して間違っていると思う人もいるでしょうが、私はこの写真の真実が変えられていない点から、問題ない適切な処置であると思います。」
現代では、ナショナル・ジオグラフィックでは報道写真は全てRawで提出しなくてはならず、このような加工が行われることもないそうです。
現在、「視覚的なストーリーテラー」であり報道写真家ではないというマッカリーさんですが、これから先は混乱を防ぐためにフォトショップの使用を控えめにすると決めたそうです。彼自身の言葉によると;
「これからは、フォトショップの使用は最低限にとどめようと思っています。個人的な旅行での写真であってもです。今回の事が起こる前は自分の構図や審美的な感覚で好きなように自分の写真を作ればいいと思っていましたが、今回の件で、私のことを報道写真家だとまだ思っている人の混乱を招いてしまうという事がわかったからです。」
今回の公式コメントで一連の騒動が収まりを見せそうですが、これから個人的な写真でもフォトショップの使用を最低限に抑えるというマッカリーさんのコメントに、「そんな必要はない。これはただの魔女狩りで、くだらない」というようなフォトコミュニティでの同情の意見が多く寄せられている事も付記しておきます。