以前も紹介した世界最古の写真博物館、ジョージ・イーストマン博物館がこの度、1880年代の初期Kodakのフィルムを2本入手したことを発表しました。
2本のうち1本が1888年にコダックのカメラのために作られたフィルムで世界で唯一現存しているもの、もう1本がKodak Transparent Filmという1889年に同じコダックカメラのために作られたもので、世界で3つ現存しているうちの1つだということです。
ジョージ・イーストマン博物館に名が冠されているジョージ・イーストマンというのはイーストマン・コダックの創業者であり、ロールフィルムを発明した人物です。
したがって、ジョージ・イーストマン博物館にこのレアなロールフィルムが所蔵されることは大変理にかなったというか、収まるべき所に収まったという感じがします。
ジョージ・イーストマン博物館はオリジナルのコダックカメラを所蔵しており、このカメラのケース、現像に送るためのケースに加えて、今回のフィルムが手に入った事で、当時のセットがジョージ・イーストマン博物館に揃ったと言えるでしょう。
このコダックカメラは、1本のフィルムで100枚もの写真が撮れる当時としては驚くべきカメラで、持ち主が写真を撮り終わった後に10ドルを添えてコダックに送る事で、コダックが現像し、現像した写真と新しいフィルムに取り替えられたカメラが送り返されて来るというシステムを採用したカメラでもありました。
現像という、一部のプロだけが行う時間とお金のかかる作業を丸ごと業者にやってもらうというこのシステムは革命的なもので、写真の歴史におけるカメラ・写真の大衆化へのターニングポイントとしても見る事ができます。
その点を踏まえてみても、歴史的に重要なこのロールフィルムがジョージ・イーストマン博物館に所蔵されることは大変意義があると言えるでしょう。
この全セットが展示される日が来たら、是非足を運びたいものです。