エクステンションチューブって何? という質問がたまに寄せられるので、今回はエクステンションチューブについて紹介したいと思います。
エクステンションチューブとは
エクステンションチューブは一言で言うと、カメラとレンズの間に取り付ける、接写用のチューブのことです。
これを取り付ける事で、最短撮影距離が短くなり、より被写体に近づいた撮影ができます。つまり接写用、マクロ撮影用です。
マクロ撮影にはマクロ用のレンズを使えばいいんじゃないの? という疑問が湧くと思いますが、要は「より安価で手軽な接写機能が手に入る」というのがエクステンションチューブの一番の存在意義だと言えます。
特に、写真愛好家で、「マクロをちょっとかじってみたい」という人などはいきなり高価なレンズに投資するのはハードルが高いです。そんな時にエクステンションチューブは悪くない選択肢だと言えます。
エクステンションチューブの種類
さて、そんなエクステンションチューブですが、大きく分けて2種類あります。
一つ目は、カメラとレンズとの電気系統のつながりを保たないものです。
これを使うと、当然のことながらAFや自動絞りが効かなくなります。自動露出はほとんどの場合できます。その場合は絞り優先かプログラムモードで撮る事になります。
この種類の一番の問題点は、絞りのコントロールにあります。もし使用しているレンズがマニュアル用のフォーカスリングがついていないものであれば、絞りは開放のままで固定されてしまいます。こうなると出来る写真表現の範囲が狭められてしまいます。
ただ、手動で絞れるレンズの場合はこの問題は当てはまりません。ビューファインダーで見ながら絞っていけばOKです(ただし、絞っていくとビューファインダーは暗くなり見にくいです。)
この種類の大きな利点はその安さです。基本的に安いエクステンションチューブはほとんどこの種類になります。
2つ目の種類は、レンズとカメラのコネクションを保つことのできるものです。カメラのオート機能が使えるので、色々と楽です。AFも使えますが、接写ではマニュアルの方がいいのが実情です。
もちろんこちらの種類の方が最初の種類よりも値段は高いです。
エクステンションチューブの利点と欠点
エクステンションチューブの良い所と悪い所をまとめてみました。
良い所:
- マクロ専用のレンズを買うより安い。
- どんなレンズにもつけれて柔軟性が高い。(マクロレンズにもつけられる)
- ブランド等に関わらず、つけると同じような結果が出る。つまりどんな写真になるか予想しやすい。
悪い所:
- 種類によってはオート機能が使えなくなり、絞りのコントロールなどが難しくなる場合がある。
- 望遠レンズではあまり効果が出ない。
- カメラの出しているF値がエクステンション上の実際のF値とずれることがある。
- レンズが設計されている距離よりも近くに焦点を合わせるので、極端なマクロ撮影の場合に画像クオリティが下がる(この点でマクロレンズに劣る)。
- 通常に比べて少し光量が減る。
エクステンションチューブの使い方
エクステンションリングを使う時はマニュアルフォーカスで使うのがベストです。フォーカスリングを使って一番見せたい所を狙います。
上の例のように、ここまで寄ると被写界深度がとても狭くなっています。自分の欲しい被写界深度を得る為になら遠慮なくISOを上げていって構いません。
被写体が止まっているものなら三脚を使うことで、ISOを抑えられます。
手持ちならシャッタースピードを通常よりも速めで撮ることをお勧めします。マクロ撮影では被写体だけでなく手ブレの影響も大きく見えるからです。
エクステンションチューブを使った撮影に適した被写体は花でしょう。花には美しいディティールがあるので、普段肉眼でみれない小さな美しさを捉えるというマクロ撮影の醍醐味を味わえます。