ジャパンカメラでは、三分割構図や黄金比、バランスなどの写真の構図についての記事が多くありますが、今回はまだあまり語られていない「間」についてのお話です。アート用語ではネガティブスペースと呼ばれます。
ネガティブスペースと呼ばれる概念は写真だけであく、絵画などの他のアートでも使われる概念で、主題の置かれていない場所を指します。
例えば上の写真だと、メイン被写体である花嫁があり、画面の左側を占めるネガティブスペースにはただ何も無い空間が広がっています。
ただ何も無いので、イコールただ無駄な空間というわけではありません。例えばただ花嫁だけをフレームに収めた写真と比べると、上の写真にはまた違った味があります。ネガティブスペースの一見無駄な空間が、この写真に味を足しているのです。
これが、「無」と「間」の違いです。「無」と違い「間」には何かしらの意味があるのです。上の写真のネガティブスペースは、良い「間」を作っていると言えるでしょう。
「間」を作る?ネガティブスペースの重要性
ネガティブスペースは上手に使う事によって写真のイメージをガラッと変えるだけの力を持っています。ネガティブスペースを上手く使っている写真は、それがその写真のメインと言えるほど決定的なものです。
例えばポートレートでは被写体となる人物の感情を表現したりできたりします。寂しさ、楽しさ、幸福、絶望などの感情をより強く引き出す役割を果たす事がネガティブスペースにはできるのです。
ネガティブスペースには細部がなくただの空間な為に構図の中の重要でない部分だと考えられがちですが、「間」をつくることによって重要な構図の一部分になることができるのです。
ネガティブスペースを積極的に活用した作品を撮ってみよう
構図を決める時に、どうしてもメインの被写体にばかり目がいってしまいます。もちろんそれは全く間違っておらず、むしろ正しい写真撮影の方法ですが、写真には常に正解である構図が決まっているわけではありません。ネガティブスペースを意識して使ってみる事で、思いがけない素晴らしいショットが撮れるかも知れません。皆さんも、次の写真を撮る時に、一度「間」が使えないかどうか考えてみては。