シンガポールの都市の写真を3年間、実に百万枚も撮りためて、それをタイムラプス動画にした作品、「The Lion City II – Majulah」が話題となっています。⬇
作ったのは、オーストラリア出身でシンガポールに12年間住んでいるフォトグラファーのキース・ルーティット(Keith Loutit)さん。
3年間に渡り、同じ場所に何度も行ったり来たりしてその場所の写真を撮り溜めることで、建築物が出来る様子など、この都市国家シンガポールの特徴でもある発展速度・都市化の速さなどを見事に捉えたタイムラプス作品に仕上がっています。
仕様カメラ・レンズと装備品
一口に3年間、百万枚と言いますが、その作業量は驚くべきものがあります。ルーティットさんはまずこの作業量に耐え得る装備の選定から始め、2台のニコンD4で臨む事にしました。ニコンD4をチョイスした理由は、カーボンファイバーのシャッターの強度だそうです。レンズは古いAiレンズとAi-Sレンズの単焦点を自分でカスタマイズして使用。その理由は、古いレンズは安く、自分でどんどんカスタマイズする事で自分の目的にあったものに出来るし、落として壊してもすぐ買い直せるからだそうです。
また、ルーティットさんの頭を悩ませたのがデータ管理です。百万枚に及ぶデータをどんどん蓄積していくのは大変なことで、40テラバイトのRAIDハードディスクの購入も考えますが、ハードディスクというものは壊れるものだという(正しい?)理解のもとに、ローカルのハードディスクに10TB、グーグルドライブに10TBのバックアップという体制で臨む事にしたそうです。
作品制作上の困難
ルーティットさんは制作前にロケハンを済ませており、どこで撮るかというアイデアは大体固まっていたようです。そこから撮影許可を取ったそうですが、シンガポールは割と他の国にくらべて高い建物での撮影許可がおりやすいそうです。
ビルが建っていく過程を見る事の出来る建築現場のシーンでは、ルーティットさんは建築現場に何度も足を運び、毎回200枚ほどの写真を撮ったそうです。
また、シンガポールはその土地柄、太陽が半分の時間は北半球に、残りの半分は南半球にいるという場所であり、そのために光の角度が時期によって全然違うという問題があるそうで、ここを一貫性があるように見せるための、撮影上・編集上の苦労が大きかったようです。
3年に渡って撮られた百万枚の写真で作られたタイムラプス。ルーティットさんの1つのプロジェクトにかける時間と労力は、いちフォトグラファーとして素直に見習いたい気持ちになります。